避妊・去勢手術はなぜ必要?
動物自身の健康とQOL(Quality of Life=生活の質)を向上させ、家族の一員として人間社会の中で長く幸せに暮らすためです。
「繁殖がしたいのにできない」というのは犬・猫にとって大きなストレスです。
手術をすることで精神的に安定し、また生殖器関連の病気を予防することができます。
将来的に繁殖を考えていないのであれば、早めに避妊・去勢手術をすることをおすすめします。
愛犬・愛猫の一生に関わることですので、ご家族全員でしっかりと話し合ってください。
避妊手術とは
- Q.避妊手術はどんな手術?
- A.
全身麻酔下で両側の卵巣と子宮を摘出します。卵巣だけを摘出すると、子宮内に炎症や腫瘍が発生する可能性が生じるからです。傷もたいへん小さく、およそ2週間後に抜糸した後は、通常の生活に戻れます。避妊手術を受けた動物は繁殖能力が無くなります。
- Q.避妊手術はどんな効果があるの?
- A.
生後6カ月の性成熟前に避妊手術を行えば、異性の動物や人間に対する性的行動はほとんどなくなります。
発情期特有の神経質な状態や鳴き声、発情に伴う出血などがなくなるため、飼い主さん自身の生活する上でのメリットもあります。
医学的には生殖器関連の病気(子宮蓄膿症、卵巣嚢腫、乳腺腫瘍など)を予防することができます。
避妊手術による犬の乳腺腫瘍発生率
避妊手術の時期 | 乳腺腫瘍発生率 |
---|---|
最初の発情前 | 0.05% |
初回~2回目の間 | 8% |
2回目発情以降 | 26%(4頭に1頭) |
※2.5歳以降 悪性腫瘍に対しては予防効果なし
避妊手術による猫の乳腺腫瘍予防効果
避妊手術の時期 | 乳腺腫瘍予防効果 |
---|---|
~生後6ヶ月齢 | 91% |
7~12ヶ月齢 | 86% |
13~24ヶ月齢 | 11% |
※猫の乳腺腫瘍は高確率で悪性の場合が多い
去勢手術とは
- Q.去勢手術はどんな手術?
- A.
全身麻酔下で両側の精巣(睾丸)を摘出します。傷もたいへん小さく、およそ1週間後には通常の生活に戻れます。去勢手術を受けた動物は繁殖能力が無くなります。
- Q.去勢手術はどんな効果があるの?
- A.
生後6カ月の性成熟前に去勢手術を行えば、異性の動物や人間に対する性的行動(マウンティング)や、縄張りを維持するための行動(マーキング)はほとんどの場合なくなります。動物同士のけんかや攻撃性も大幅に減らせます。
医学的には生殖器関連の病気(精巣腫瘍、前立腺肥大、前立腺炎、肛門周囲腺腫瘍など)の全ての予防に効果があります。
繁殖できない環境下での性衝動は、動物にとってフラストレーションやストレスの原因となります。
去勢手術によってこうした問題から解放され、人間とも家族として良い関係を築いていけることでしょう。
よくある質問
- Q.去勢手術・不妊手術に適した年齢はありますか?
- A.
適正な時期は、性別にかかわらず犬も猫も生後6カ月までとなります。
ただし、チワワのように小さな動物は早すぎても良くないので注意が必要です。詳しくは獣医師にご相談ください。
- Q.去勢手術・不妊手術のデメリットはありますか?
- A.
避妊や去勢によって、太りやすくなります。特に太りやすい体質の動物は、体重が3割増しになる場合もあります。日常の食事や運動量に目を配り、体重の増加に気をつけてください。
性格が変わることを心配されるかもしれませんが、その子本来の性質が変化することはありません。攻撃的な行動が減るため、温和になったと感じることはあるでしょう。
去勢手術・不妊手術の医学的な効果はデメリットをはるかに上回ります。不安なことは何でもご相談ください。